~戯語感覚~

文学、思想、そしてあるいはその他諸々

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

柄谷行人『世界史の構造』を読んだ ー(3)

予定では2部、3部で一回づつ書くつもりでしたが内容が転倒に次ぐ転倒(ただ自分が何も知らないだけかもしれない)で、その「転倒」に躓かないようにゆっくり書くことにしました。 ① 国家の起源 交換様式Aが支配的な氏族社会では、互酬による強力な平等主義に…

柄谷行人『世界史の構造』を読んだ ー(2)

(2)ミニ世界システム ミニ世界システムとは氏族社会のことで、この用語はチェース=ダン(Christopher Chase-Dunn)の世界システム論に由来している。ウォーラーステインは、国家形成以前の世界をシステムと見做さなかったが、チェース=ダンはそれも世界シ…

柄谷行人『世界史の構造』を読んだ ー(1)

『世界史の構造』はこれまでの柄谷行人の著作の中で、私にとって一番読み易かった。若い頃、すなわち文芸評論家と称していた時分の柄谷の文章は韜晦めいて非常に分かりにくかった。その理由は柄谷が、自分の考えを直接書くのではなく、テクストに語らせよう…