~戯語感覚~

文学、思想、そしてあるいはその他諸々

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

熊井啓監督「地の群れ」を観た。~希望なき映画に希望をみる~

原作は井上光晴。映画の脚本も井上本人と熊井啓監督の共同執筆。井上光晴は三島由紀夫、安部公房とほぼ同年齢。後者二人の作品はほとんど読んでいるが、井上の作品はなぜか全く読んでいなかった。ただ昔に原一男監督の『全身小説家』を観て、作品よりも作家…

「祖谷物語ーおくのひとー」を観た

蔦哲一朗監督の『祖谷物語-おくのひと-』を観ました。 蔦監督はあの「やまびこ打線」で甲子園全国制覇をなしとげた池田高校野球部の蔦文也監督(どっちも監督!)のお孫さんだそうですが、風貌はまるっきり正反対。おじいさんの豪快な感じとは違って繊細な…

明治初期の文藝雑誌&出版社

雑誌 ・『東京新誌』 明治9年 服部撫松 ・『花月新誌』 明治10年 成島柳北 ・『団々珍聞』 明治10年 野村文夫・石井南橋・田島任天 ・『魯文珍報』 明治10年 仮名垣魯文 出版社&文藝誌 ・金港堂 明治8年 『以良都女』 『都の花』 ・十字屋 明治10年 キリス…

明治初期の新聞 

大新聞 ・横浜毎日新聞 明治3年(島田三郎・仮名垣魯文) →東京横浜毎日新聞 明治12年 (沼間守一) ・東京日日新聞 明治5年(山山亭有人・落合芳幾・岸田吟香・福地桜痴) ・郵便報知新聞 明治5年(栗本鋤雲・矢野龍渓・犬養毅・尾崎行雄・原敬) ・朝野新…

浅田彰 「新国立競技場問題をめぐって」を読んで

この浅田彰「新国立競技場問題をめぐって」は『SAPIO』に掲載された記事の元になった談話に加筆されたものであるそうだが、『SAPIO』読んでないのでどこが足されているのかはわからない。「浅田節」健在を印象づける明瞭かつ鋭利な意見であると思う。遅れて…

馬鹿小説 『真夏の夜の夢』

真夏の夜の夢 夏の宵、どこからか打ち上げ花火の炸裂する音が聞こえてくる。お祭り好きのサトルはその方角を確かめたくなって、開けてはならない網戸を思わず開けてしまった。 「あっ!」 サトルの背後で、テレビを見ていた同棲相手のサトコが叫んだが、時す…