~戯語感覚~

文学、思想、そしてあるいはその他諸々

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

柄谷行人『世界史の構造』を読んだ ー(12・結)

まとめと感想 「世界史の構造」について書き始めたのが、4月の中頃。 8月ギリギリの前回でやっと終わって約4ヶ月・・・ 最初のほうはもう忘れかけてる・・・・・ ので、ここで他のことは忘れてもこのことは忘れないでください!という論点を、備忘録とし…

柄谷行人『世界史の構造』を読んだ ー(11)

世界共和国へ (ⅰ)資本と国家への対抗運動 これまでの資本との闘争には二つの欠陥があったと、柄谷は指摘する。 ① 資本を国家によって抑えようとしたが、それはむしろ国家を強化するだけであった。 ➁ 闘争の場が、生産過程に偏っていた。 ①はそのまま20世…

柄谷行人『世界史の構造』を読んだ ー(10)

アソシエーショニズム 普遍宗教は共同体、部族、国家を越えた地点で初めて存立可能となる。共同体から切り離された個々人が、普遍宗教の「神の力」によって再び結びつく。しかし、例えばキリスト教は、国家の枠組みを越えた存在となったが、結局ローマ帝国の…

柄谷行人『世界史の構造』を読んだ ー(9)

ネーション(国民) 国家は略取と再分配という交換様式Bに基づき、産業資本は商品交換という交換様式Cに基づいている。近代国家はネーション=ステートと形容されるが、それはネーション(国民)とステート(国家)という異質なものの結合体なのである。国…

柄谷行人『世界史の構造』を読んだ ー(8)

交換様式Cが支配的な社会構成体は産業資本主義とともに初めて歴史上に現れた。これは、氏族社会、国家の出現と並んで画期的なことなのである。 産業資本 (ⅰ)産業資本と産業プロレタリア 一般に商人資本は流通から利潤を得(安く仕入れて高く売る)、産業…

柄谷行人『世界史の構造』を読んだ ー(7)

近代国家 柄谷は近代国家を、国民国家から考えずに、絶対主義王権から考える。国民国家から考えると幾つかの本質的な問題が曖昧にされてしまうからだ。 (ⅰ)絶対主義王権 東ローマ帝国やイスラム帝国の周辺に位置していた西ヨーロッパでは、皇帝のような普…