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~戯語感覚~

文学、思想、そしてあるいはその他諸々

ドラマ『朝鮮ガンマン』観た。~パクユンガンの夢~④

  これまでドラマのあらすじを追ってきたが、これは当ドラマの半面でしかない。残る半分とはもちろん、ユンガンとスインのラブストーリーである。歴史の大きな流れの中で、ユンガンとスインの二人が自分を見失わなかったのは、二人の愛があったからだと思う。「国家のため」とか「正義のため」などという大文字の価値にではなく、ユンガンにとっては「スイン」が、スインにとっては「ユンガン」という固有名が価値を持っていた。お互いがそれぞれを羅針盤にして、自らの歩む方向を決めている。

だから、スインがユンガンと最初に別れるときに、《コンパス》を渡したのは象徴的だと思う。開化派なら、コンパスじゃなくて、当時最先端だった懐中時計をわたすべきだったという声もあるが、ここはやっぱりコンパス(羅針盤)じゃないといけない。時間なんて腹時計でも充分だ。何処にいても進む道を教えてくれるというコンパスこそ、この物語にふさわしい。

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"받으십시오

길을 찾아주는 물건입니다

도련님이 어디에 계시던 이 나침반이 길을 인도해 줄겁니다

 

조심하십시오

꼭 살아계십시요

그럼 다시 만날 겁니다

다시 만나면 헤어지지 않을 겁니다"

 

お受け取りください

道を捜してくれる品物です

ユンガン様がどこにいらっしゃっても

この羅針盤が道を導いてくれるでしょう

 

お気を付けください

必ず生きていらしてください

ではまたお会いしましょう

また会えれば別れはしないでしょう

 

この直後にユンガンは銃使いに撃たれてしまうんですがね・・・

 

また、このコンパスは日本人「長谷川半蔵」が「パク・ユンガン」であることを証明する決定的な証拠にもなります。うすうす分かっていたとはいえ、ユンガンが本当に生きていたことをスインが知るシーンはこのドラマの中で一番好きな場面です。

 

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本当にいい場面です。

おっさんですが感動しました。

コンパスが道を教えてくれたんですね。

 

あともう一つ好きなシーンがあります。

金玉均に懇願されたスインが女官になる決意をし、王宮に出仕する直前ユンガンが現れる。スインに翻意するように促すが、それを断る彼女の台詞が印象的です。

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「より良い世界で

一緒に暮らすためです

そのために

しばし別れるだけです」

 

スインがいう「より良い世界」とはどんな世界だろうか?

開化派の師から受け継いだ「万民平等」の世界。

罪のない人間がいわれのない罪を負わされることがない世界。

愛する二人が邪魔されることなく結ばれる世界。

それこそは、(不完全とはいえ)

現在の私たちがふつうに暮らしているこの日常世界ではないだろうか?