~戯語感覚~

文学、思想、そしてあるいはその他諸々

好きな韓国映画 (1)

前回の更新から、幾星霜・・・・・ いや、およそ一ヶ月ぶりになりますな。

今日はまったりと、力を抜いて書きたいと思います。

テーマは《韓国映画

最初に観た韓国映画は巨匠イム・グォンテク監督の『風の丘を越えて/西便制

この映画で〈パンソリ〉という伝統演芸を知った。パンソリは韓国の中でも主に全羅道で演じられていること、〈恨〉も元々全羅道に淵源してることを知ったのはつい最近である。

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 今まで観た韓国映画で一番好きなのは、何と言っても奇才・鬼才キム・ギドク監督の『受取人不明』である。ストーリーは次のようなものだ(wikiより)

1970年代、米軍基地のある韓国のとある村。黒人の米軍兵との混血児であるチャングクは犬商人の仕事を手伝いながら、母親と二人で暮らしている。母親はアメリカに帰国したチャングクの父親に息子の写真を同封した手紙を出すが、手紙は「受取人不明」の判を押されて返ってくる。おもちゃの銃で右目を失明したウノクは、朝鮮戦争で戦死した父親の年金と母親の内職で生活している。米軍基地内の病院で目を治してもらうため、彼女は高校で英語を勉強している。米軍兵士相手の肖像画専門店を営む父をもつチフムは、父親の家業を手伝うため高校に通っていない。チフムはウノクに想いを寄せているが、アメリカかぶれの不良少年から学校に通っていないことをバカにされている。

  

何か、映画の至る所に熟考に値するテーマが隠されているという感じなのだ。

こういうのを「テクスト」っていうんだろうな、と思う(テキストじゃないけど)。

キムギドク監督の作品には必ず一箇所〈痛い場面〉が出てくる。

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 次はイ・チャンドン監督作品

『ペパーミントキャンディー』や『オアシス』の方が人気があると思うが、私は監督の一作目『グリーンフィッシュ』の方が好きだ。この作品はよく「フィルム・ノワール」と言われるが、「やくざ映画」ではなく、バラバラだった家族が再び一つになる「家族映画」だと思う、ただし主人公は死んでしまっているが。最後に映し出される「柳の木」は印象的だ。

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 次はキム・ジョグオン監督『リメンバーミー』

キムハヌルとユジテ、それからハジウォンが出演してる。

1979年のキムハヌルと2000年のユジテの無線交信。ちょっとSFぽいが、あまり気にはならない。

その期間、韓国は独裁制から民主制へと劇的に変わった。朴正煕大統領暗殺も映画に出てくる。ユジテはキムハヌルにとって、恋敵の子供であることがだんだんわかって来る。それに抗うことなく、静かに運命を運命として受け入れるキムハヌルの姿がせつない。最後、ユジテがキムハヌルに会いに行くという掟破りなシーンがあるが、「幸福そうだった」というわりに、あまりそう見えないところが気になる。

 

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 同じタイトル・原作で日韓で撮影された作品があるが(リメンバーミーもそう)、総じて、日本の作品は説明くさい。例えて言うなら、韓国映画は韻文で、日本映画は散文だ。

 戦後の歴史が、その激しさの違いが作品にも顕著に表れていると思う。