~戯語感覚~

文学、思想、そしてあるいはその他諸々

本の感想

若林幹夫『都市への/からの視線』読んだ。

プレモダンからモダンへ 《近代化》と《都市化》は別の概念であるが、都市という場所は近代化を考えるのに最上の舞台を提供してくれる。もちろん、都市は近代だけのものではない。古代にも中世にも都市は存在した。しかしそれら近代以前の都市と、近代以降の…

吉田孝『日本の誕生』を読んだ。ー国制と国号とー

岩波新書の『日本の誕生』吉田孝著を読んだ。 この本のタイトル『日本の誕生』に、著者は二つの意味を持たせている。 一つは、国制としての日本の誕生、 そしてもう一つは「日本」という呼称・国名の誕生である。 著者はこの国の基本的な国制・文化、すなわ…

『戦争の日本古代史』読んだ。ーヘイトの淵源ー㊦

3.〈任那を巡る攻防〉 6世紀に入ると、これまで高句麗に従属していた新羅が独立して半島の覇権を奪取しようとしだす。新羅は百済と同盟を結んで伽耶(任那)に侵攻した。こまった伽耶諸国は倭に援けを求めた。倭は対新羅軍を派遣しようとしたが、新羅と通…

『戦争の日本古代史』読んだ。ーヘイトの淵源ー㊤

講談社現代新書の『戦争の日本古代史』(著・倉本一宏)読みました。 昨今、日本で問題となっているヘイトスピーチ。 差別は以前から確実に存在した。ただそれは一応潜在的なもので、人前で公然と顔を晒して大声でやる者はいなかった。それがここ10年位で風…

『儒教と中国ー「二千年の正統思想」の起源』読んだー㊦ー

・〈魏の正統性と鄭玄〉 新たに出現した「名士」たち。貧しい出身であっても人物が評価されれば「名士」になれ、その評価を基に行く行くは貴族にもなれるという道が開けた。それは当然、社会に流動性を生み出す。豪族たちは経済力ではなく、学問を修めさまざ…

『儒教と中国ー「二千年の正統思想」の起源』読んだー㊥ー

前回は「新」王朝まで書いたが、今回はその続きの後漢時代以降について。 王莽が讖緯思想を使って王権を奪取したように、光武帝・劉秀も讖緯思想、とりわけ図讖と呼ばれるものを重視した。図讖とは、龍や亀が背負って示したという聖なる図のことである。劉秀…

『儒教と中国ー「二千年の正統思想」の起源』読んだー㊤ー

この本が扱っているのは、前漢・新・後漢・魏(三国時代)・晋・南北朝時代の約5~600年間の出来事である。この期間にいかにして儒教が、王朝の正当化に資する理論となり、国教となり、仏教によって相対化されるようになったかの変遷を、儒教の諸テキストの盛…

加地伸行『儒教とは何か』読んだー㊦ー

〈経学の時代 下〉 ・三教時代 儒教は、原儒時代の淫祠邪教的な宗教性を抑圧し、脱魔術化して礼教性を高め、経学という新しい学問を起こして時代のニーズに応えた。儒教が国教化した漢代は、また同時にいかがわしい怪異の流行した時代だった。脱魔術化した儒…

加地伸行『儒教とは何か』読んだー㊥ー

この『儒教とは何か』という本は、中国における儒教の発達・発展を以下のように時代に沿って4段階に分ける。 ⑴:原儒時代 前6世紀以前 ⑵:儒教成立時代 前6世紀~前2世紀 ⑶:経学時代 前2世紀~20世紀 ⑷:儒教内面化時代 現代~未来 前回書いた分は、⑴と⑵に…

加地伸行『儒教とは何か』読んだー㊤ー

この本を読んで、仏教プロパーだとずっと思っていた物事が実は儒教に由来していると知って驚いた。例えば、「墓」。仏教では骨は単なるモノにすぎないから特別埋葬もせず、拝みもしない(まあ仏舎利という例外もあるが)。儒教においては頭蓋骨が特別の意味…

姜尚中『ナショナリズム』レポート➁

⑶国体ナショナリズムの生成と変容 「国体」はいかにして生まれたか?そして時間の流れの中でどのような変成作用を受けてきたかを考えるのが『ナショナリズム』のテーマである。姜は国体の始原を、本居宣長にみる。宣長は幕末に盛んになった海防論による地政…

姜尚中『ナショナリズム』レポート ①

ナショナリズムとは何か?これを定義するのは難しく骨の折れる仕事である。それは日本語訳としても、国家主義、国民主義、民族主義、国粋主義等々と訳されるし、イメージとしては上記のほか更に、外国人嫌い、排他主義、帝国主義、愛国主義、ポピュリズムな…